NISA恒久化について調べてみました

02/10/2019

2019年7月31日付の日本経済新聞「新「2000万円報告書」案浮上」を読んだ感想をtwitterで呟いたところ私史上最大の反響を皆様から頂きました。

本稿では2019年現在までの制度恒久化議論について考察したいと思います。

令和元年度 税制改正(租税特別措置)要望事項とは?

本日(2019年8月3日)時点では金融庁からの要望事項は開示されていません。
日本経済新聞は金融庁が2019年8月の税制改正要望において政府にNISA恒久化を求める見通しであるとレポートしています。

平成31年度 税制改正(租税特別措置)要望事項とは?

 では、2018年8月に公開された金融庁庁総合政策局総合政策課の要望事項を確認してみましょう。

家計の安定的な資産形成を継続的に後押しする観点から、以下の項目について措置を講じること。

① NISA制度の恒久化 ・NISA制度(一般・ジュニア・つみたて)について、恒久措置とすること。

 ・なお、「つみたてNISA」については、開始時期にかかわらず、20年間の長期・積立・分散投資のメリットを享受できるよう、制度期限(平成49 年)を延長すること。

② NISA制度の利便性向上等

 ・NISA口座を保有する者が、海外転勤等により一時的に日本を離れている間であっても、引き続きNISA口座を利用できるようにすること。

 ・成年年齢が引き下げられたことを踏まえ、NISA制度の利用開始年齢を引き下げること。

 ・NISA口座で保有する上場株式等を他の年分の非課税管理勘定に移管する際に提出するロールオーバー移管依頼書について、電磁的方法による提出の簡素化を図ること。

 ・「一般NISA」勘定と「つみたてNISA」勘定の期中における変更手続について簡素化を図ること。

平成3 1 年度税制改正( 租税特別措置)要望事項 金融庁庁総合政策局総合政策課

つまり、①では
・NISA制度は2014年から2023年までの10年間のうちの5年間(ロールオーバーすることで最大10年)の運用期間を恒久化してほしい

・つみたてNISAは2018年から2037年までの最大20年間(ロールオーバーなし)ですが積み立て開始年度が遅ければ期間が短くなるので積み立てをいつ開始しても20年間は運用期間を確保してほしい
ということを意味しています。

はい、実は2018年にも金融庁はNISA制度の恒久化を要望していたんですね。
金融庁としては恒久化は既定路線だったようです。

ちなみに②のNISA制度の利用開始年齢は成人年齢を20歳から18歳へ引き下げたことに併せて同様に引き下げてほしいというものです。

平成31年度 税制改正(租税特別措置)議論の結果は?

残念なことに2018年は政府・自民党は恒久化は見送る方針を固めました。
その理由についてNHK政治マガジンは以下のように報じています。

NISAは、個人の金融資産を貯蓄から投資に振り向ける政策目的のために期限を区切って行うべきものであることに加え、政府税制調査会で、老後の資産形成を後押しする制度の見直しが、NISAを含めて議論されているためだとしています。

NHK政治マガジン

NISA・つみたてNISAは今後どうなるの?

金融庁HP内のⅢ.税制改正要望関係資料を見ているとNISA、つみたてNISAの恒久化を過去から要望していることがわかりました。

銀行・証券業界のみならず一般投資家からも制度の恒久化が求められているにもかかわらず政府はこれを推し進めていかないのかという疑問が沸きます。

政府が掲げたNISA制度の目的は「貯蓄から投資へ」カネを動かすことで「家計の安定的な資産形成の支援」及び、「経済成長に必要な成長資金の供給拡大」だったはずです。
時限制度では制度終了後に投資から貯蓄へ逆行してしまいかねません。

政府が恒久化を見送った理由として考えられるのは今すぐに結論を出す必要がないからだろうと考えます。
現時点ではNISA・つみたてNISA口座数や投資額の増加を見守り、NISAの時限間際になったら結論付けましょうというスタンスであろうと推察します。

最後に

現状制度は一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3制度が運用されています。
恒久化の議論と併せて一般NISAとつみたてNISAの棲み分け(もしくは一本化)の議論を重ねて、どっちつかずの中途半端な制度にならないことを期待します。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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