景気後退局面でインデックス投資家はどのように振舞うべきか!?

2019年8月は米中貿易摩擦に関するトランプ米大統領の発言により株式市場や為替相場が大きく変動しています。
そして景気後退(リセッション)局面に入ったのではないかと推測の声もうかがわれています。

保有資産が日々目減りする中でも継続して積み立てていくために本稿が精神安定剤になれば幸いです。

インデックス投資を行う大前提

まずインデックスファンドへの積み立て投資を行うにあたって、長期的に見ると経済は好景気と不景気の循環を繰り返しながらも時間と共に成長・拡大するという考え方が大前提にあります。

それでは日本を代表する指数TOPIX(東証株価指数)を見てみましょう。

TOPIX 株価指数ヒストリカルグラフ (日本取引所グループより)

…早速疑義の残る動きですね。

基準日である1968年1月4日を100として1989年12月18日に最高値2,884.80を付けて以降は約30年間800から1,800の間で推移しています。
しかしながら、長期的にみると景気循環を繰り返しながら非常に緩やかに上昇していると言えないことはないかと思います。
1968年から2019年までの51年間で14倍の規模、”平均”成長率は5.53%です。

一方で米国株の代表的な指数であるS&P500を見てみましょう。

上で見たTOPIXとほぼ同期間の指数の推移ですが1970年2月以降は2度の大きな指数下落局面を経験しながらも回復し右肩上がりに成長していることがわかります。
1970年から2019年までの49年間で31倍の規模、、”平均”成長率は7.47%です。

但し、TOPIXにせよS&P500にせよインデックスの過去の値動きが将来の成長を占うものではないことには注意しなければなりません。

ちなみに1970年2月から2019年8月までの49年6か月のあいだドル・コスト平均法に則って毎月$1,000をS&P500に連動するインデックスファンドへ投資を継続した場合、積立額$595,000(保有口数2,324.67)に対して計算上は純資産総額が$6,618,597.84まで膨れ上がります。
※2019年8月S&P500は2,847.11としています(以下、同様)。

インデックス投資家はどのように資産価値を拡大するのか?

純資産総額と基準価格、保有口数の関係は以下のように表されます。

純資産総額 = 基準価格 * 保有口数

つまりインデックス投資おいてベンチマーク(≒基準価格)にどれだけ成長を見込めるか、そしてベンチマーク(≒基準価格)が相対的に低いうちにどれだけ保有口数を増加させることが出来るかが純資産総額を増加させるカギとなります。

これこそインデックス投資家がインデックスに連動するファンドを投資対象としてドル・コスト平均法に用いて資産価値を拡大できる理由です。

インデックス投資家は景気後退局面でどうのように振舞うべきか?

結論から申し上げると…

経済は好景気と不景気の循環を繰り返して成長するものであると信じる限りはドル・コスト平均法に則って、ただひたすらに、淡々と、投資を継続するべきと考えられます。

その理由は先に述べた通りS&P500が1970年から現在まで2度の大きな景気後退を経験しながらも確実に純資産総額を伸ばしてきたためです。

次項は、(1)景気の谷間で投資を中断した場合、(2)景気の山場で投資を開始した場合、にどのように資産が推移していくかS&P500に連動するインデックスファンドを想定して1970年2月から2019年8月の期間でシミュレーションしてみます。

(1)景気の谷間で投資を中断した場合

まずは、1970年2月から毎月$1,000の投資を開始していましたが2003年2月の景気の谷間(S&P500は841.15)に投資額を$0にして2019年8月まで資産を保有したケースです。 総投資額$397,000(保有口数2,187.97)に対して2019年8月時点での純資産額は$6,229,389.23となります。 結果的として指数が相対的に低い時期に長期に渡って積み上げた保有口数(=掛ける数)を手放さずに保有したことによってベンチマーク(=掛けられる数)の成長を純資産総額として得ることが出来ました。

(2)景気の山場で投資を開始した場合

続いて、2000年8月の景気の最初の山場(S&P500は1,517.68)の時期に毎月$1,000の投資を開始して2019年8月まで投資を継続したケースです。
総投資額$229,000(保有口数165.09)に対して2019年8月時点での純資産額は$470,035.23となります。
2000年8月の景気の山場に投資を開始して2003年2月の谷場、2007年10月の山場、2009年2月の谷場を経験してもなお鋼の心で投資を継続したことによって、結果として約20年間で資産は倍増しました。

しかしながらここでは純資産総額が投資総額を上回るまでに約10年必要であったことに注目してください。

指数が相対的に高い時期に投資を開始して景気後退・拡大・後退を繰り返したため保有口数(=掛ける数)の積み上げが出来ずにベンチマーク(=掛けられる数)との掛け算の解が純資産総額のマイナスリターンとして長期に及んだことがわかります。

インデックス投資における不安材料はないのか?

個別株においては企業の業績、ガバナンスの欠如により株価がゼロになる恐れは十分にあり得ますがベンチマークとなるような広く分散されたインデックスの価値がゼロ、例えばS&P500であれば米国企業500社の株式時価総額の加重平均値がゼロになる恐れは非常に考えにくいと思われます。

但し、冒頭に申し上げた長期的に見ると経済は好景気と不景気の循環を繰り返しながらも時間と共に成長・拡大するという大前提が崩壊すること、もしくは崩壊しないまでも低成長状態が長期に渡って継続すること、そして、これらが個々の投資家人生のいつのタイミングで襲ってくるかということを不安材料として挙げることが出来ます。

1932年7月8日、ダウ工業株平均は20世紀始まって以来の最安値となり、1954年11月23日まで1929年に達した水準まで戻ることはなかった

Wikipedia ウォール街大暴落 (1929年)

唐突にダウ工業株平均を持ち出しましたが他のインデックスも同様に不景気を経験してから好景気時の水準まで戻すために投資家の人生のほとんどを費やす、最悪の場合は含み損を抱えたまま生涯を終えることも考えられます。

TOPIXが1989年12月18日に最高値を付けて以降は下落、以降30年は超低成長に甘んじて燻っていることを見れば身近に感じられると思います。

しかし景気循環はだれも予測することは出来ないのでこの不安材料に対する解は、経済の成長性を信じてインデックス投資を行う限りにおいて①投資可能な期間を出来るだけ長く取ること、②投資対象を広く分散すること、に尽きると筆者は考えます。

また、可能性の高い不安材料としては景気後退局面で弱気になった投資が解約に走った影響で純資産総額減少に伴う繰り上げ償還をされる恐れがないかも留意すべきです。
ベンチマークに連動した純資産総額の変動に対しては泰然と構えてよいでしょう。

まとめ

  • 長期的に見ると経済は好景気と不景気の循環を繰り返しながらも時間と共に成長・拡大するという考え方がインデックスファンドへの投資の大前提
  • インデックス投資は純資産総額 = 基準価格 * 保有口数
    • ベンチマークにどれだけ成長が見込めるか ※過去のパフォーマンスは参考にならない
    • ベンチマークが相対的に低い時期にどれだけ保有口数を増加させられるか
  • インデックス下落局面でも鋼の心で保有口数を積み立てられ続けられるか
  • インデックス投資を行う限りにおいて重要なのは、
    • 投資可能な期間を出来るだけ長く取ること
    • 投資対象を広く分散すること
  • 純資産総額の減少要因には留意すること

本稿はインデックスファンドへの投資を推奨するものではなくあくまで個人的な見解です。
投資は自己責任で。

最後までお読みいただきありがとうございました。