ダウの負け犬戦略とSPYD【高配当ETF】

02/10/2019

有名な投資戦略の一つとしてダウの負け犬(Dogs of the Dow)という手法があります。

この手法は古く H. G. Schneiderが1951年にThe Journal of Financialに寄稿した記事によって広く知られるようになり、1991年にMichael B. O’Higginsによってこの手法は投資家の間で流行しました。

本稿ではダウの負け犬戦略とその手法によく似たSPYDについて考察していきたいと思います。

ダウの負け犬戦略とは?

ダウの負け犬戦略の前提となる考え方はダウ工業株30種平均に採用されている収益力や信頼性、成長性のある米国優良企業(=ブルーチップ)は能力の高い経営者を雇うことが出来るなどの企業力によって、市場や景気後退に耐えることができ、高配当利回りを維持できるだろうということです。 この前提に基づいてダウ工業株30種の中から高配当利回り銘柄を毎年10銘柄選定し、各銘柄の保有金額が10%ずつになるよう均等に買い付けられたグループをダウの負け犬と呼びます。

ダウの負け犬組入銘柄

ちなみに2019年版ダウの犬組み入れ銘柄はこちらです。

  1. IBM International Business Machine 5.5% 情報技術
  2. XOM Exxon Mobil Corporation 4.8% エネルギー
  3. VZ Verizon Communications 4.3% 通信サービス
  4. CVX Chevron Corporation 4.1% エネルギー
  5. PFE Pfizer 3.3% ヘルスケア
  6. KO Coca-Cola Company 3.3% 生活必需品
  7. JPM JP Morgan Chase & Co. 3.3% 金融
  8. PG Proctor & Gamble Company 3.1% 生活必需品
  9. CSCO Cisco Systems 3.0% 情報技術
  10. MRK Merck & Co. 2.9%ヘルスケア

セクター別でみると2019年は公益、資本財、一般消費財、素材、不動産を除く6セクターをカバーしています。

ダウの負け犬は勝ち犬になれるか?

O’Higginsらによってダウの負け犬戦略は1920年代からバックテストが行われ、マーケットに対してアウトパフォームしていると結論付けられました。但し、2000年から2018年で見るとO’Higginsらの検証結果とは異なり必ずしもダウ工業株30種平均やS&P500にアウトパフォームしていないことには注意しなければなりません。19年間のダウの負け犬とダウ工業株30種の勝敗をみるとほぼ五分五分です。

2000年から2018年までのダウの負け犬、ダウ工業株30種平均、S&P500のパフォーマンス比較です(先述の通りダウの負け犬は毎年銘柄を入れ替えています)。

Year【ダウの負け犬】【ダウ工業株30種平均】【S&P500】
20006.4%-4.7%-9.2%
2001-4.9%-5.4%-11.9%
2002-8.9%-15.0%-22.1%
200328.7%28.3%28.7%
20044.4%5.3%10.9%
2005-5.1%1.7%4.9%
200630.3%19.1%15.8%
2007-1.4%6.4%3.5%
2008-41.6%-33.5%-38.5%
200912.9%18.8%23.5%
201015.5%11.0%12.8%
201112.2%5.5%0.0%
20125.7%7.3%13.4%
201330.3%28.1%31.8%
20147.0%7.5%11.4%
2015-1.2%-2.2%-0.9%
201616.1%13.4%9.5%
201719.4%25.1%18.9%
20180.0%-3.7%-4.6%

money-zine.comより

ウォール街のランダムウォーカーの著書であるバートン・マルキールはその中で、O’Higgins自身が「私の戦略はあまりにも有名になりすぎた」とのコメントを引用してダウの負け犬戦略を否定的に捉えています。

マルキール自身は広く分散されたインデックスに投資することを推奨しています。

S&P500の負け犬・SPYD?

ダウの負け犬戦略を知ったとき思い浮かんだのは現在保有しているSPYD(SPDR S TR/S&P 500 HIGH DIVID ETF)です。

選択肢となるインデックス及び組入銘柄数に違いはあるもののSPYDはS&P500銘柄の中から配当利回りの高い上位80を年に2回リバランスを行っておりS&P500の負け犬戦略と言えるでしょう。

【ダウの負け犬】【SPYD】
組入対象ダウ工業株30種(=株価の平均) S&P500(=時価総額を指数化)
組入銘柄数10銘柄80銘柄
組入セクター(2019年)6/11セクター11/11セクター
買付方針均等金額均等加重平均
リバランス年1回(1月)年2回(1月、7月)

こうして比較してみるとSPYDは銘柄の選択肢、組入銘柄数、組入セクター数(将来はリバランスにより減少する可能性あり)の面で分散は利いているように見えます。

一方で、リバランスが年2回ありリバランスコストは余計に負担していることになります。

ダウの負け犬はダウ工業株30種平均のパフォーマンスに対して優位性があると言い切るのは困難でした。それではSPYDのベンチマークとなるS&P500 High Dividend Index(SPXHDUP)とS&P500のパフォーマンス比較してみましょう。

過去10年(2009年8月31日を100として2019年9月27日まで)を見るとアウトパフォーマンスしています。 しかしながら、SPYD設定来(2015年10月21日を100として2019年9月27日まで)を見ると2017年半ばごろからアンダーパフォームし、最近は乖離が目立ちます。

最後に

配当利回りの高さは非常に魅力的ですがキャピタルゲインとインカムゲインの両立は難しいと考えられ、投資家それぞれのライフステージによって投資対象となり得るかの判断となりそうです。